親知らずの症例
「横向きの親知らず」
Case.1
横向きに生えている、
授乳婦さんの親知らず抜歯
治療の背景
妊娠中に親知らず周囲の歯茎の痛みを感じ前院で相談したものの、「妊娠中、授乳中は抜歯できない」と説明を受け、経過観察をしてしていたそうです。痛みの消退を繰り返すため、抜歯を検討し当院に相談されました。
産後半年以上経過しており、授乳の機会も夜寝る前程度と限定的であったため、術後の痛みに対する鎮痛剤を服用するタイミングをコントロールすれば、薬剤の母乳への移行も最小限に抑えれるため、痛みを繰り返す今の状況から脱することを優先し、患者様のご希望もあり、抜歯することになりました。
抜歯前エックス線写真
歯の頭の一部が
歯茎から出ている状態
抜歯した親知らず
主訴 | 親知らず周囲の歯茎の痛みを感じ抜歯したい |
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治療内容 |
ほとんどが歯茎に埋まっている状態の歯であるため、歯茎を切開、剥離し、歯を分割し、抜歯しました。 歯が出てくる出口が小さく、根が長い歯であったため、周囲の骨をできるだけ削らないために2回分割を行いました。根の先端と神経・血管の束との間に少し骨が介在する状態だったので、下唇麻痺のリスクは比較的低いケースでした。 抜歯後歯茎を元の位置に戻し、縫合して終了しました。痛み止めは、比較的安全性の高いカロナール(アセトアミノフェン)で対応し、授乳と服薬のタイミングについても指導を行いました。 |
治療時間 | 約20分 |
治療期間 | 1週間(抜歯当日と1週間後の抜糸) |
治療費 | 約5,000円 |
治療のリスク | 術後に痛みや腫れを引き起こすことがある かさぶたができず、術後に血が止まりにくいことがある 一時的にあざができる可能性がある 下歯槽管神経を損傷してしまう可能性がある |
経過 | 麻痺はなく、痛みはしばらく続きましたが、授乳との兼ね合いの中で服薬のタイミングをコントロールしつつ、乗り切ることができました。 抜歯のような侵襲の強い処置は、できるだけ、妊娠、授乳中を避けることは当然ですが、痛みの程度や経過によっては、この時期にせざるを得ないケースも実際は存在します。患者様が不安になることなく、痛みから開放されるためには、技術もさる事ながら、服薬や治療に対しての充分な知識が必要です。 |